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2018.2.23

不確実な科学情報を社会の災害軽減に役立てるためには 「南海トラフ地震予測対応勉強会」で追求

「南海トラフ」とは、静岡県沖から宮崎県沖まで延びる、深海のプレート沈み込み帯に形成されている溝のことで、この付近では過去に何度も巨大地震が発生してきました。1854年安政地震、1944、46年昭和地震など、東南海地震・南海地震が連続して起こり、大災害となった事例も知られています。東日本大震災後、日本では地震想定の再検証が進み、2012年、内閣府は専門家の意見をもとに「将来、南海トラフ巨大地震が発生した場合、最大でM9クラス、最悪で32万人以上の死者数となるケースもありうる」という、新想定を発表しました。

 

IRIDeSでは若手研究者有志が発起人となり、2016年12月から、南海トラフ巨大地震に関する勉強会を、さまざまな分野の専門家を招いて月一回のペースで行ってきました。特に中心となるテーマは、「不確実な予測情報を、どのように社会の災害軽減に役立てることができるか」です。現在の科学では、いつ、どこで、どのくらいの規模の地震が発生するか、正確に予知することはできません。しかし、近年急速に整備が進んだ海底観測網により、海底のプレートの動きや、「スロースリップ」など、地震の誘発もしうる現象を捉えることが可能になりました。

 

現在、南海トラフ域には、リアルタイムでデータが取得できる「世界一の観測網」が敷かれています。例えば「海底で普段と違う現象が観測された。これがすぐに地震につながるかどうかはわからない。しかし、地震が発生する確率は上がる」といった、不確実ではあるが科学に基づく予測情報が得られた場合、事前に何らかの対応をし、防災に生かすことはできるのでしょうか。理学、工学、心理学、火山学の研究者や、南海トラフ域で防災計画に携わってきた実務者、災害報道に携わってきたメディア関係者等と議論を重ねています。

 

勉強会世話人代表・福島洋准教授(災害理学)は、「本勉強会を1年あまり続け、予測に関する情報の出し方・伝え方・受け方について、さまざまな観点から検討できた。今後も学際的に取り組みながら、テーマを掘り下げていきたい」と話します。

 

研究者は、データが存在すれば過去と現在の分析はできますが、未来を正確に見通すことは不可能です。それでも、科学情報を何とか未来に役立てることはできないか。南海トラフ地震のリスクを軽減することはできないか。研究者の追求は続きます。

 

 

 

北川尚・前高知県理事をゲストに迎えての勉強会

(2018年1月22日撮影)

 

 

 


 

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